vol.3 樽の昔ばなし
樽にまつわるこんなお話があります。

むかし、あるところに、ぶどう園を持つ一家がありました。
ぶどうからワインを作り、納屋にはいろんな動物を飼っています。動物のなかでも重宝したのは豚で、使い道のひとつに皮袋がありました。

秋。農夫は、搾りたてのワインを豚の皮袋に入れます。するとおかみさんは、農夫に「栓をしないでね」と、注意しました。
でも、農夫はしっかりと栓をしてしまいます。
そして、それを子供が涼しい洞穴に運ぼうとしました。が、途中で皮袋は見る見る大きく膨らみ始め、子どもは袋を落としてしまいます。皮袋は破裂 しワインはこぼれ、利益は台無し。
パーティーもぶち壊しで、皆のイライラはつのります。

家族が集まって、粘土を捏ねてポットを作りました。
できたポットは焚き火のそばで乾かします。
次の秋、収穫が始まります。家族は沢山のポットにワインで満たしました。
子供は、ポットを涼しい洞窟に運び始めました。しかし子供はまだ力が弱 く、途中でポットを地面に落としてしまいます。ポットは割れてワインは こぼれ、利益は台無し。
パーティーもぶち壊しで、皆のイライラは増します。

家族が集まって、オークの板を集めます。
板を焚き火のそばで乾かすと、板が曲がってきました。 そこへやってきたのが錬金術を使う男。彼は、オークの板を使って、あ〜っという間に樽に仕立てあげ ます。秋になり、今年もワインが搾られ、樽は満たされました。
子供は、樽をセラーに転がしていきます。ワインはみなで飲まれ、利益が もたらされ、パーティーは盛り上がりまりました。めでたし、めでたし。

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